「恋に額縁を。愛に角砂糖を」

白房が恋愛についてお話しするブログ

幸せな日々と、その終わり

 白房です。続きです。

 

 アコさんと再会し、僕らは毎日一緒に帰ることになりました。同じ中学の出身ですから、それはある程度自然な流れでした。

 

 さて、携帯電話やメールの無い時代、一緒に帰るってのはなかなかにハードルがあります。

 そもそも中学高校と違い、予備校は授業が終わる時間が人によって違います。僕が三限までで、アコさんが四限まで、なんてこともあります。「時間と場所を確定し、その時間とその場所に必ず居ること」が、待ち合わせに必要だったのです。

 

 今なら多少の遅刻は、ラインで「ちょっと遅れるね」とメッセージを送ればいい話です。しかし、そんな便利なものはありません。ともかく何を置いてでも、待ち合わせに間に合わせる必要がありました。時間に遅れれば申し訳ないですし、最悪、相手が先に帰ってしまうことも考えられます。

 

 僕はなんとしてでも、待ち合わせ時間と場所に間に合わせていました。それもそうです。あのアコさんと一緒に帰れるんです。必死にもなります。

 

 時に本屋に行き、時にごはんを食べたりして、アコさんと逢瀬を重ねました。毎日が幸せに包まれていました。ゲーセン通いは終わり、アコさんにいいところを見せようと、勉強もはかどりました。

 

 色々な話をして、将来の夢なんかも知りました。アコさんは医療系を目指している、理系女子。将来なりたい職業もあり、人生設計もしっかりしていました。「経済系に入って、なんとなく大学四年間を過ごそう」なんて考えていた僕とはまるで違っており、自分を恥じたのもこの頃です。

 

 そんな幸せな毎日が、少しずつ終わりに向かいます。季節は冬。入試が近づいてきたのです。文系男子と理系女子。どう考えても志望校は違い、浪人が終われば、また会えない日に向かいます。

 

 入試三日前。最寄り駅まであと少しと迫った電車の中。

 その日も僕は、アコさんと一緒に帰っていました。

 アコさんは言いました。

 

 「もう受験だね。大学に入ったら、会えなくなりそうだね」

 

 僕は、その言葉でもう一度、告白することを決めました。

 

 「アコさん。僕と付き合ってくれませんか。大学に入ってからも、こうやって会いたい」

 

 結果。それは次回までのお楽しみ。以下次回。